プリンセス☆ロード
「私を必要とする者は一人も…」
「そんなことないです!国民のみんなが笑顔あふれて幸せそうなのは、セリムが王様だからで、セリムじゃないとダメなの!」
それは言い切れる。
セリムが作り上げてきたこの国は、誰が見ても本当にいい国だと思う。
「セリムと話して、本当にいい人だってわかった。毎日毎日私の練習に付き合ってくれて、レンのケガの手当だって手配してくれて、本当に感謝してる。だから、そんな事言わないで。セリムを必要としている人はたくさんいるから」
「…でも、君は行ってしまうんだろう?」
「私は…」
どう返したらいいんだろう。
セリムの言葉は嬉しい。
私の事、認めてくれたってことだと思うから。
それでも、私は……。
「ごめん…。どうかしてた。忘れて」
「セリム…」
「少し、一人にしてくれないか?」
そう言うと私に背を向けてしまう。
私はどうしたらいいかわからなくて立ちすくむ。
「行って」
「え…あ…」
セリムに冷たくそう言われ私は武道場を後にした。