プリンセス☆ロード





気が付けば、話を聞く私の瞳からは大粒の涙が零れ落ちていた。






「私たちは、ユリアに守られた。情けない話だ。妹がそんなにも悩んで決意をしていたのを私は気づけなかったのだから」

「セリムは悪くないです!悪いのは…悪魔の方だから!」

「ユリアはレンに会いに行く前に私に手紙を残していたんだ」

「手紙…?」

「ありのままの事実を述べられた手紙さ。これからレンに嫌われに行くと。それでも、最後まで自分はレンを愛していると。兄さんだけはそのことを覚えていてほしいと」





どうか。
レンの心の中で、私が悪者になっても構わない。
そうして忘れて前に進んでくれるのならば、その方が自分は幸せだ。
それでも、兄さんだけは真実を知っていてほしい。
私が最後までレンを愛して死んでいったことを。
私が、幸せだったことを覚えていてほしい。







「…ユリアは怒っているかもしれないけど、私はその手紙をレンに見せたよ」

「…」

「ユリアを守れなかった責任を、押し付けたかったのかもしれないね」







レンは、どう思っただろう。
突き放された悲しみ、でも、それは彼女の愛だったと知った時。
そんな彼女はもうこの世にいないと現実を突き付けられた時。







心は、壊れてしまうんじゃないだろうか。









「そのあとのレンはね、見てられなかったよ。荒れていたね。悪魔への憎しみのままに、ユリアを殺した悪魔を探し出そうと必死だった」

「見つかったんですか…?」

「いや…。手がかりは何一つなかったんだ。悔しかっただろうね。きっと、私以上に」

「…そうですか」





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