プリンセス☆ロード
「これ、君に」
「これは…?」
セリムに手渡されたのは、バレッタ。
エリシアの町で手に取った覚えのあるものだった。
「本当は、捨ててしまおうか迷ったんだけどね。君を私のモノにしてしまいたかったからね」
「え…」
「でも、やめた。それは、レンがポケットの中に忍ばせていたんだよ。手当の時に出て来たんだ」
「レンの…?」
「ああ。君にだろう?きっと、買ったはいいけど渡せなかったんだろうね。レンらしいよね」
レンが、私に…?
私がこれを手に取ってたこと気づいてたの?
嬉しい。
その意図がなんだったとしても、嬉しい。
「ありがとうございます」
「お礼は私にじゃないでしょ?」
「…はいっ!」
レンのその優しさは、私に向いているんだと信じて。