プリンセス☆ロード
私は、ギュッと手を握った。
震えを止めるため。
でも、震えは止まらない。
どうしてかな?
覚悟を決めていたはずなのに。
相手は悪魔なのに。
「怖いんだろ。悪魔とはいえ、傷つけることをなんとも思わないはずがない」
「…大丈夫よ。みんなを守るためだもん。私も、皆の役に立ちたい」
「お前がそんなことを考えなくていい。今迄通り守られてればいいんだ」
「いや!みんなが戦って傷ついていくのをただ見てるだけなんて!」
そんなの、嫌!
私だって、何かできることがあるはず。
私のせいで誰かが傷つくなんってもってのほかだ。
「いい加減にしろ!お前がやみくもに動かれる方が迷惑だ!」
「…レン…。どうして…?私だって、戦いたい!」
「たかだか一匹仕留めたくらいでいい気になるな。剣をしていたと言ったが、お前の剣術が実践に通用すると思うな。なんだあれは。隙だらけだったじゃないか」
「…っ、これからちゃんと…!」
「この話はもうおしまいだ。バカなことを考えるのはもうやめにしろ。いい加減にしないとそのネックレスは俺があずかる」
レンはそう言うと苛立ちを露わにしながらどこかに行ってしまった。
どうしてあんなに怒らないといけないの?
またお前って…名前で呼んでくれたと思ったのに。
それに、口が悪いのだってやっぱり健在だし。
セリムが言っていた私と出会ってレンが丸くなったって、やっぱ勘違いなんじゃないの?
私も、最近優しくなったって思ってたのに。