プリンセス☆ロード
「あ―こいつむかつく。一発ぶん殴ってもいいよな?」
「ほどほどにしとけよー。一応、女みたいだしな」
ケラケラ笑う笑い声が耳障りだ。
悔しい。
掴まれた腕を振り払うこともできない。
振り払えさえすれば、どうにか…。
なる?
レンに、剣の筋を否定された。
私の剣に、人を守る力はある?
それに相手は人間だ。
手加減なんて、できる?
一度わいてきた不安は次々と渦になって湧き上がってくる。
「じゃ、いきまーす」
「やめろ!!!」
男の冷淡な声と、男の仲間に取り押さえられながら悲痛な声を上げる浩太と、美由紀。
ああ、こんな時いつもならレンが助けてくれる。
いつだって、側にいて、私が危険な時には駆けつけてくれて。
そんな彼は、ここにはいないの……。