プリンセス☆ロード
「は―…。ご飯は?」
「食べてはない」
「食堂に行くから一緒に食べる?」
「…食堂か。いいな」
私は美由紀と浩太に謝りを入れてレンを食堂に連れて行った。
食堂で見慣れない料理たちに目をキラキラさせるレン。
そんなレンを初めて見て、なんだか新鮮。
「おい、紗南。これはなんだ」
「かつ丼。ご飯の上にあげたお肉が乗ってるの。おいしいよ」
「よし、それにしろ」
「はいはい」
ここにいると、レンは自分の立場を忘れられるのかもしれない。
騎士として、国や姫を守らないといけないという任務は、きっと重く肩にのしかかっているだろう。
少しの間でも、それを忘れて楽しんでくれたらいい。
「おいしい?」
「ああ」
レンの食べっぷりを眺めながら尋ねる。
「あの、昨日は助けてくれてありがとうございました」
美由紀がレンにそう言った。
レンは食べるのをやめ、美由紀を見る。
「ああ、昨日の女か。気にするな。もとはと言えばこいつが悪い」
「ちょっと…」
「怪我は、してないか?」
「あ、はい…」
レンが優しく労わる。
あれ?レンってこんな優しかった?
私にはいつもきつい言い方しかしないのに。