プリンセス☆ロード
「…あの、バカ」
飛び出した紗南を見てぼそっと呟く。
あんなこと言いたかったわけじゃない。
あんなことを言わせたかったわけじゃない。
紗南を目の前にすると、思ってもいないことが口につく。
うまく、行かないことばかりだ。
「あ、あの…」
「…なんだ」
「いったい何の話か分からないんですけど、二人って、どういう関係なんですか?」
紗南の友だちである美由紀がおずおずと尋ねる。
レンは少し考える。
余計なことを言って紗南を困らせるのは避けたい。
「お前たちは紗南のなんだ」
「え…私たちは…友だちです」
「…それと同じだ」
友だち…そんな風に感じたことなど一度もない。
ならば、俺にとっての紗南は、いったいどういう存在なのだろう。
レンは、その答えに困る。
「紗南は、お前たちの側にいるのが一番幸せなんだろうな」
「え…?」
「とてもいい顔をしていた」
昨日のことを思い出す。
紗南を影から見ていた時、この二人と話している紗南はとても明るい顔で笑っていた。
自分の側にいる時の紗南は、確かに笑顔もあったけど、泣いていることも多かったように思える。
紗南が幸せでいられるのは、きっとここなんだと……。