プリンセス☆ロード
「紗南!」
レンが紗南に駆け寄る。
服が乱れ、頬は腫れ、血が出ていた。
その姿に、レンは拳を握る。
あんな言い合いなんてしなければよかった。
一人で飛び出したりしなければ、こんなことには……。
「すまなかった…。お前を守ると言っておきながら…」
紗南を抱きかかえ、大事そうに抱きしめる。
後悔ばかりが頭をよぎる。
涙の跡の残る頬に手を添える。
「お前を…失いたくない…」
大切なものなど作りたくなかった。
紗南の事も、任務だからと言い聞かせていた。
もう、大切なものを作ってそれを失う苦しみを味わうのはごめんだと。
それなのに、こいつは、土足でずかずかと人の心の中に上り込む。
弱いくせに、怖いくせに、戦うことを勝手に決め、強くあろうとする。
上り込んだ胸の中に、勝手に居座り心の中を支配するんだ。
突き放しても、突き放しても、消えない。