プリンセス☆ロード
「お前らは、異世界というものを信じるか?」
「え…?」
「異世界…?」
突然レンが突拍子もないことを言い出した。
ちょっと、唐突すぎるでしょ!
「俺は、異世界の人間だ。紗南も、少しの間そっちに行っていた。しかし、ある拍子にこちらに戻ってきたが、それに俺も巻き込まれたというわけだ」
「…え…」
「三行でまとめたわね…」
「信じられんのも無理はない。俺もこうして自分がやってきて初めてまともに理解したのだからな」
顔を見合わせる美由紀と浩太。
信じられないよね…。
「俺たちの世界では、紗南は俺たちの世界を救う姫として讃えられている」
「姫…?」
「だから、確かに俺たちには紗南が必要だ。しかし、それはこの世界に戻れるまでとの約束でもあったからな」
「でも、私はこのまま投げ出したくない」
「…だから、もう一度俺たちの世界に連れ帰ることをお前たちに許してほしい」
レンは二人に頭を下げた。
人に頭を下げる姿なんてあまり見たことがない。
それなのに、私のために頭を下げてくれてる。
「な、なんだか信じられないけど…、昨日のレンさんの格好とか、一週間行方不明になってたこととか思い返すと納得はできる気がする」
「ああ…。それに、許すもなにも、紗南が決めることだしな。なんか…あんた、紗南の事必死で守ろうとしてたし…あんたになら任せられる気がする」
「浩太…美由紀…」
「でも、どうしても嫌になったらすぐ帰ってきてね!いつでも私たち待ってるから!」
「ありがとう」
本当に、二人ともいい人過ぎるよ。
こんな信じられないような話をちゃんと真面目に聞いてくれて、送り出そうとしてくれてる。