プリンセス☆ロード
その村では、聞き込みから始めた。
とてもつらい記憶なのだろう、あまり話したがらない人が多くて私たちも胸が詰まる。
思い出したくない記憶。
人にはきっと誰にもそれがあって。
「なかなかわからないね…」
それがわかるからこそ、あまり深く聞き出せないでいる。
この村に入ってから、リュウはさらに話さなくなってしまったし。
なんだか、行き詰ってしまった感じ…。
「…リュウ?」
そんな私たちのもとに一人の女の人が近づいてきた。
その人は、リュウの名を呼ぶ。
リュウの故郷なのだから、知り合いがいてもおかしくないんだ。
「リュウでしょう?ねぇ?」
その人は、今にも泣きだしそうなくらい取り乱していた。
その様子に私は首をかしげてリュウを見る。
「カノン…?」
リュウが信じられないと言った表情でその彼女を見ていた。