プリンセス☆ロード
「村長と言っても、これだけ小さな村の村長ですから、そこまで偉いというわけでもなかったんですけど、代々村長に言い伝えられている事柄というのがあると聞いたことがあります」
「代々言い伝えられている事柄…?」
それはまるで、ルネス王国に伝えられている救いの姫の伝説のように…。
それは、きっと重要な事柄なのだと意味する。
「それは家族であっても知らせてはいけないのだと、父は教えてはくれませんでした」
「それ程重要な秘密事項だったってことですか?」
「…おそらく。でも、父は酔うとしきりに私に話してくれたことがあります。この村には使命があるのだと。こんな小さな村には大きな価値があるのだ、と」
「使命…価値…?」
それはどういうことだろう。
その秘密に関係することなのだろうか。
使命…そして価値とは…?
「ですが、そう誇らしげに話す一方、父はいつも何かに怯えていました。口には出しませんが、父の姿をいつも見ていた私には子どもながらにわかったんです」
「…身の危険を感じていたということか?」
「わかりません。そうなのかもしれませんし、ただの責任の重圧に押しつぶされていただけなのかもしれません」
「お前が、身の危険を感じたりといったことは…?」
「…ありません。ただ、私もまだ幼かったのです。ただ気づいていなかっただけなのかもしれません」
もし、身の危険を感じて怯えていたのだとしたら…。
それほどまでに、重大な秘密を隠しているということになる…?
代々伝わるその言い伝えとはいったいなんなのだろう。
それを知らなければ、なにもわからない。
「今、この村の村長はどの方がされているんでしょうか?」
「明日、ご案内します。今日はもう遅いので体を休めてください」
「ありがとうございます」
わからないことばかりだ。
それでも、少しだけ前進したのか…。
私たちはカノンさんの好意に甘えることにした。