プリンセス☆ロード





「…紗南さん」




離れにあるというお風呂をいただき、ホカホカ気分で戻ろうと歩いていた時、呼び止められた。
声の方を見ると、それはカノンさん。





「あ、お風呂ありがとうございます。とても気持ちよかったです」

「よかった。…あの、少し話いいかしら?」

「はい。私も、カノンさんに聞きたいことがあります」






カノンさんが聞きたいこと、きっとそれは、リュウの事だろう。
そして、私が聞きたいこともリュウとカノンさんの事。







「最近のリュウの事を聞かせてほしいの」

「最近のリュウの事…ですか?」

「ええ…。ずっと会っていなかったから…」








そう言えば、とても久しぶりのような再会の様子だった。
ちゃんと確信が持てないような、そんな感じ…。
数年ぶりなら確かにそうなるかもしれない。



でも、ここはリュウの故郷なのに…?





「リュウは、ここにきたりはしてなかったんですか?」





私の問いに、カノンさんは静かに顔を横に振る。







「リュウがどこにいるのかさえ…。私はもう、死んでしまったのだと…」

「えっ?」

「悪魔が襲ってきたあの日、リュウは私の両親とケンカをしたんです。それで飛び出していったきり…」

「それきりってことですか…?」






それって、お互いに無事を確認することもなくということ?
どうして……?






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