プリンセス☆ロード
「私は、両親に守られ何とか生きながらえたわ…。そして、いろいろなことがようやく落ち着いた頃、ようやくリュウを探しに村のあちこちを探しまわったの」
「…いなかったんですか?」
「ええ。どこにも…。リュウが住んでいた家も悪魔の被害にあって住めるような状態ではなかったし、手掛かりなんて何もなくて…」
とても、心配していたのだろう。
カノンさんの表情を見ていればそれが伺える。
カノンさんはお腹の前で組んでいた手に視線を落とし話す。
辛い過去を、思い返すように……。
「だから、何でもいいの。私の知らない間のリュウの話を、聞きたいの…」
「…カノンさんは、リュウが好きなんですね」
「…っ、私の、片思いなの」
「え…?」
顔を上げたカノンさんと視線が交差する。
カノンさんの瞳は揺れていた。
「私は、小さい村とはいえ、村長の娘。そんな私を、自分には相応しくないとずっとリュウは言ってたわ。リュウは、根はとてもいい人だったけど、少し乱暴な所があって、よくケンカをしてはいろいろな所を怪我して帰ってくるような人だったから」
所謂、不良ということかしら?
不良と、いいとこのお嬢様。
確かに、相容れない関係かもしれない。
それでも、カノンさんはリュウに惹かれた。
「私とリュウは幼馴染のように育ったの。だから、私が村長の娘だとか、リュウの素行だとか、関係なく思ってた。でも、父にはそんなリュウが許せなかったの…」
「父親として、心配だったんですね…」
「ええ…。父は頭ごなしにリュウを責めたわ。リュウは、父に反抗はしなかったけど、それまで以上に荒れたの…」