プリンセス☆ロード
「それで、とうとうあの日、父の暴言ともいえる言葉に耐え切れずにリュウは怒鳴り返して出ていってしまったの…」
「そうだったんですか…」
「だから、私の思いは告げられないままよ…」
カノンさんは寂しく笑った。
それでも、今までずっとリュウの事思い続けていたんだ。
死んでいるかもしれないと思いつつ、それでも…。
「私、リュウに会ってからまだ二月もたっていないんです。だから、すべてを知ってるわけじゃないんですけど…」
「ええ…。あなたの噂は聞いているわ」
「あ…そうなんですね」
私の事って、そんなにいろんなところに回ってるだ…。
なんだか、恥ずかしいような、恐ろしいような…。
「リュウが不良だったなんて、私には想像がつかないです。私にとってリュウは、なんていうかお兄ちゃんみたいな存在です」
「リュウが、お兄ちゃん…?」
「いつも、明るくて元気で、頼れるお兄ちゃんです。ルネス王国のトップクラスの一番隊っていう隊で騎士をやってて、すごく強いです」
「…そう…」
私の話を、一つ一つ真剣に聞いてくれるカノンさん。
ぽっかり空いた数年間を埋めるように噛みしめるように聞いている。
私は、埋めきれるはずのないのに、必死で話した。
「でも、リュウはどうして…ムーン王国ではなくてルネス王国の騎士に…?」
「…それは…。私には、わからないです…。でも、ずっと前から騎士をしてるって言ってました」