プリンセス☆ロード
「それが、王様の言うことなの!?」
「…そう思うのが、普通なんだよな…。でも、そこにいる誰もが間違ったことは言っていないと、俺を見下して言うんだ。…この国は、腐ってる。そう思った」
絶望に打ちひしがれたはず。
救いを求めた場所で、無下にされたのだから。
それも、ひどい言葉を浴びて。
大切な人が死んで、それを誇りに思えなんて…。
「同じ人間とは思えない…」
「…ああ。城の前に放りだされ、打ちひしがれてた…。そこに、公務でムーン王国にやってきていた当時8歳のルネス王国の王子がいたんだ」
「王子が…?」
「ああ。王子は、小さいころから国の仕事を少しずつ勉強して、その歳にして一人で公務をこなす立派な方だったらしい。後から聞いた話だけどな」
「そうなんだ…すごいね」
一度も会ったことのない王子。
子どもの頃は、公務も行っていて、確かに存在していたんだ。
「その王子たちは、公務を終え国へ帰るところだったらしい。門から出てきた王子は、ボロボロの俺なんて見向きもせず、連れていた男に言ったんだ」
―できるだけ多くの人材を集めろ。少し寄り道をすることにする。このまま俺は、キールという村に向かう。お前たちもついて来い!
「俺には、たった8歳の子どもが神に見えたね」
自分の国の人間は誰も、救ってくれなかった。
それなのに、遠い国からやってきた、まだ年端の行かない子どもが手を差し出してくれている。
いったい、正義とはなんなのか。