プリンセス☆ロード
「その、王子はテキパキと指示を出し、村で救命活動をしてくれた。一方では、襲ってきた悪魔の捜索まで…。それは結局わからずじまいだったけどな」
「そっか…」
「体力には自信があったし、喧嘩には自信があった。あの王子には恩ができた。だから、俺は、王子に、そして、その国そのものに恩返しがしたい。そう思って、王子に頼んで騎士にしてもらったんだ」
王子は、足手まといはいらん。そう言いながらも、リュウにルネス王国の騎士に与えられる剣を渡したのだという。
8歳のくせに、少し生意気な王子だった、とリュウは笑った。
「…みんなには王子に会った時の事を誤魔化してたけど、…本当はそこで会ったんだ。俺は、今でも王子に感謝してるし、尊敬してる」
「そうなんだね」
「まぁ、そのあとすぐ、王子は修行を行うと姿を消してしまったんだけどな」
結局それっきり会えずじまい。
いったい今どこで何をしているのか。
そして、いったいどんな大人になっているのか。
「それが、俺がルネス王国で騎士をしてる理由」
「ありがとう。話してくれて…ありがとう」
「いや…話してすっきりした。こっちこそありがとな」
リュウは、やっぱり優しい。
「カノンの事は、生きてたって知ってすごく嬉しかったよ。でも、やっぱり罪悪感は消えない」
「罪悪感?」
「あの時、喧嘩して出ていかなければもしかしたら村長たちを守れたんじゃないかって。少しでも、抵抗できれば逃がすことだってできたんじゃないかって思ってたから。だから、あまりこの村には帰ってきたくなかったんだ」
きっと、誰もリュウの事を責めたりなんてしていないと思う。
だけど、リュウにとってはとても大きな問題で、ずっと胸に突き刺さっていたんだよね。