プリンセス☆ロード
目の前で起こった出来事に、レンは動揺していた。
その隙を狙い悪魔が襲いくる。
それをせき止めたのはソウシ。
向かいくる悪魔を一手に引き受け切り捨てていく。
これほどまでに動揺したレンを初めて見た。
以前、紗南が浚われた時以上の動揺。
気を確かにもち、最後まで悪魔を切り捨てた騎士たちは、すぐに紗南のもとに集まった。
「紗南!」
「紗南ちゃん!」
「止血します!」
ソウシが荷物の中から布を取り出し紗南に駆け寄る。
しかし、声が届いていないのか、レンが紗南を抱きかかえて放さない。
「レン…?紗南さんを渡してください。止血します!」
ソウシが声をかけるが、レンには届いていないようだった。
仕方なく、ソウシはレンから引き離すように紗南を奪い止血に取り掛かった。
「ソウシ、紗南ちゃんは助かるよね…?」
「助けます!助けなければ…」
ソウシは、レンを見る。
レンの精神状態も心配だった。
目の前で、自分を守るために傷ついた紗南。
平気なはずはなかった。
現に言葉も発さず、動揺を隠せないレンの姿。
「しっかりしてください!」
レンに向けた言葉だった。
しかし、レンには届かない。
レンは、紗南の姿にユリアの姿を重ねていた。
自分のせいで命を落としたユリア。
ずっと自分を責めてきた。
そして今、自分のせいで血を流す紗南の姿に、恐怖を覚えた。
また失うかもしれない。
自分のせいで、大切な人が……。