プリンセス☆ロード




「止血は終わりました。急いで町に向かって医者を探しましょう!」

「ああ!」

「俺、先に行って医者を探しとくよ!」





それぞれが立ち上がり紗南を救うために動き出す。
ソウシが紗南を抱え馬に乗る。
リュウがレンを引っ張りおこし馬に乗せた。




あまり激しく揺らせないため最大限の速さで村へと向かう。
誰もが心の中で祈るように紗南の無事を願っていた。




村につくと、先についていたミナトが医者のいる診療所へと案内する。
ミナトが話を付けていたため、スムーズに治療に入ることができた。
処置室の外で待つ一行。
静かな時が流れる。
誰も言葉を発そうとせず、ただ紗南がいる処置室の扉を見つめていた。

レンもソウシも紗南の血が付いた服のまま。



時間だけが一刻と過ぎていく。
ただひたすらに待ち続けることしかできない。




―わからない。でも…、もしみんなに危険が及んだ時に、私にできることがあるなら。それで、私がどうなっても、助けたいって思う。それくらいの覚悟は、あります。




そう言っていた紗南の言葉が響く。
そんなことがあってたまるかと思っていた。
そんな覚悟、させてたまるかと。

その結果が、これだ。
結局守れなかった。

何度こうして後悔すればいいんだろう。
どれだけ紗南を犠牲にすればいいんだろう。







ガチャ




しばらくして処置室の扉が開くと、一行は一斉に立ち上がる。
中から顔を出した医者が中へと招いた。





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