プリンセス☆ロード




「できるだけの処置はした。あとは、この娘の生命力にかけるしかないだろう。今夜が山だ」

「…紗南」

「おそらく、傷から来る高熱にうなされるだろう。それを乗り越えれば、きっと大丈夫だ。今夜は側にいてやりなさい。何かあればすぐに呼びなさい」

「ありがとうございました」






医者はそう言うと部屋を出ていく。
包帯を巻かれ、点滴の管に繋がれた痛々しい紗南の姿に胸が痛くなる。





「紗南ちゃん…」





ミナトが力なく紗南を呼ぶ。
今にも泣きそうだ。






「信じよう。紗南を。俺たちがくよくよしてたらダメだ」

「そうですね。泣きべそなんて、紗南さんにかっこ悪くて見せられませんね」






リュウが励ますように言った言葉にソウシが同意する。
自分たちが信じて待っていなければ。
目が覚めた時の自分たちがこんな情けない顔しているなんて。





「バカ野郎だ、俺をかばってこんな目にあって」

「レン…」

「いつもいつも、無茶なことばかりしやがって…」





レンが強く拳を握る。
悔しいのだ。
誰よりも。






「俺が、守ってやるって言っただろうが!」






レンの叫びが響く。
とても悲痛な叫び。
レンの気持ちが痛いくらいに伝わり誰もが言葉を失う。





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