プリンセス☆ロード
握られたままの右手がぎゅっと握られ、見ているとレンがゆっくり瞳をあける。
その瞳が私を捉えると、ハッとしたように飛び起きた。
「紗南!」
最近、レンは私の名前をたくさん呼んでくれるようになった、なんて場違いな事を想う。
そんなことが、嬉しいと思ってしまうの。
「レン…」
「紗南…。紗南…」
確かめるように何度も私の名を呼ぶ。
レンは今にも泣きそうな顔で、初めて見るレンの姿に動揺した。
それほどまでに心配をかけてしまったのか。
レンは、私の頬に手を添え、何度も撫でる。
私はそれに、ドキドキが隠せなかった。
レンが、そんなことをするなんて思わなかった。
私が知ってるレンは……。
「紗南ちゃん!」
「紗南!」
「紗南さん!」
目を覚ましたみんなが一斉に駆け寄る。
レンは少しハッとしたように私から離れた。
「みんな…」
「よかった、本当に…よかった…」
ミナトは泣いていた。
子どものように泣きじゃくり、リュウに慰められる。
「心配…かけて、ごめんね…」
「なに言ってるんですか!謝るのは僕たちの方で…」
「ううん…ありがとう…」
皆、大好き。
きっと、私を助けるためにたくさん頑張ってくれたんだよね。
見ると、レンの服もソウシの服も、きっと私のであろう血が付いたままだ。
「みんなが…無事でよかった…」
「…っ!」
そう言うと、突然レンが私の身体を抱き寄せた。
腹部に激痛が走るけど、それよりも突然の事にドキドキする。