プリンセス☆ロード
私が動けるようになったのはそれから一週間して。
皆はずっと誰かしら側にいてくれて、私が寂しくないようにしてくれた。
でも、レンはどうしてかあれっきり顔を見せてくれていない。
あんなことをしてしまった手前、レンの性格上顔を合わせづらいのかもしれない。
「…レンは、元気?」
「え?あ、ああ…。うん。元気だよ」
「そっか…」
ついていてくれているミナトに問いかけるとミナトは笑顔で答えた。
元気、ならいいんだけど…。
私は天井を見上げる。
「…俺さ、レンが紗南ちゃんに向けてる感情って、あのユリアってお姫様と重ねてるだけじゃないと思うんだ」
「ミナト…?」
「あの時のレンは、本当に紗南ちゃんの事を心配して、紗南ちゃんを思ってたよ」
ミナトは力強く言い切る。
私はそんなミナトを見返すと、フッと笑った。
どうしてそんなに優しいんだろう。
私がずっと落ち込んでること気づいてるんだよね。
だから励まそうとしてくれてるんだよね。
「ありがとう、ミナト」
「え、いや…。でも、本当だよ」
「うん」
ミナトが戸惑うように頭をかくと、お見舞いの品として持ってきてくれていた果物をナイフで切り始めた。
サクサクとテンポ良く切る音が響いていく。
いちいちクヨクヨするのはやめた。
私はレンが好き。
その事実は変わらないんだから。