プリンセス☆ロード



レンの手がそっと伸びてくる。
その手は私の頬に触れる。
まっすぐと私の瞳を見つめるレン。
私は身動き一つとれずに…。




「レン…」




レンはなにも言わない。
親指が頬を撫でる。
暖かな眼差しが私を見つめる。

どうして、そんな目で見てるの?
その瞳の奥で何を思うの?




「お前は…本当に目が離せない」

「え…?」

「目を離せば何処かに消えてしまいそうだな…」





距離がグッと近づく。
胸のドキドキが止まらない。
いったい、どうしちゃったの⁉︎




「レ、レン…?」

「もう、誰も愛さないと決めていたのだ…」

「え……?」






ふ、と影ができる。
え?と顔を上げた瞬間、唇に柔らかい感触。





キスーーーーー…!






唇が離れる。
私は身動きも取れず、固まったまま。





「好きだ」

「え…」

「お前が、好きだ」





レンの声がこだまする。
好き…って、私のこと?



「レン…」

「お前を、放したくない」




まさか、だって。
うそ。
だって、レンは今でもユリアさんのことが忘れられなくて。
私の入る隙なんてないって思ってた。



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