プリンセス☆ロード




「大昔、人間と悪魔は共存していた」

「え…?」

「互いに深く関わりを持たず、種族の違うものとしてある程度の距離を保って暮らしていた」




それは遠い遠い昔の話。
人間は人間の地で、悪魔は悪魔の地で。
それぞれ干渉せず距離を保ち暮らしていた。
そんな時代があったのだと、ロイドは言う。





「だが、人間たちは心の中で不信感を抱いていたんだ」

「不信感…?」

「ああ。悪魔は何かをたくらんでいるに違いない。意思を持って自分たちよりも優れた能力を持った俺たちを、勝手に恐怖の対象にしていたんだ」





自分にない能力を持った悪魔。
いつか、自分たちを襲ってくるんじゃないか。
そんな根拠のない被害妄想が生まれる。

なんて理不尽だろうか。





「悪魔は、人間の世界を侵すつもりなんてなかった。だけど、突然人間が襲い掛かってきた」

「…そんな」

「無抵抗の悪魔を片っ端から殺していった。悪魔たちも初めは穏便に終わらせようとしていたが、人間は聞く耳を持たない」






ロイドの言葉が痛いくらいに突き刺さる。
悪魔たちの悲鳴が聞こえてくるよう。







「悪魔が抵抗し反撃すれば、やはり悪魔は恐ろしい存在だ、凶悪だ、とはやし立てた。そうして俺たち悪魔を恐怖の対象に仕立て上げたんだ」

「……」

「そんな扱いを受けて、人間をどうやって許せというんだ?俺たちが何をした。すべて人間がまいた種だ。苦しめばいい。悪魔の恐怖に怯えて暮らせばいい」






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