プリンセス☆ロード




どんなに屈辱的だっただろうか。
わかってもらえない。
そんなつもりないのに。

ただ、人間よりも優れた能力があるだけ。
ただ、人間と姿かたちが違うだけ。



きっかけを作ったのは人間なのだ。




人間には人間の言い分がある。
悪魔には悪魔の言い分がある。

どこかで誤解があったのかもしれない。
でも、歩み寄ろうとしなかった人間にも原因はある。






「なにを泣く」

「え…」




そう言われて気づいた。
いつの間にか私、泣いていた。





「人間の気持ちもわかる。…それに、あなたの気持ちもわかるから」





自分とは違う対象に恐怖を覚える気持ち。
私だって、初めて悪魔に出会った時の恐怖は覚えてる。
そうやって自分を守ろうとする気持ち。
悪魔は悪だから、と自分を正当化する気持ち、わかる。


その逆に、わかってもらえなくて、怯えられ、恐怖の対象として見られ、刃を向けられ憤りを感じる気持ち。
憎しみをため込むしかない、怒りをぶつけるしかない、やりきれない気持ち。





「きっと、たくさんの仲間が人間のせいで死んじゃったんだよね。そんなの、許せるわけないよね」

「お前に何がわかる」

「憎むしかないよね、わかってもらえないなら、諦めるしかなかったんだよね。牙を向けることでしかその怒りは収まらなかったんだよね」






どうしたらよかったんだろう。
殺されていく仲間を無抵抗に見ていればよかったのか。
いつ自分が殺されるか、その恐怖に怯えながら…。

抵抗すれば悪のレッテルを張られ、訴えも聞き入れてはもらえない。
なんて残酷なんだろう。





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