プリンセス☆ロード




「あの時、ロイドにレンを殺されてたら…。きっと私も、憎しみに心を支配され、ロイドを敵の対象として恨んで、きっと刺し違えてでも仇を取ろうって思ってたと思う」

「…」

「でも、こうして話したら、それは違うって思ったよ。悪魔は悪だって、この世界に来て教えられたけど、あなたと話して、それはイコールじゃないかもっておもったよ」

「ばかばかしい」

「ばかばかしいけど、でも、それは大きな一歩かもしれないでしょ」





ううん、小さな一歩かもしれない。
それでも、願ってしまうんだ。







「話せば、あなたがただ悪いだけじゃないって私にはわかったもん。ちゃんと優しさもあるって、わかったよ」

「優しさなんて見せたつもりはない」

「私は…ロイドと分かり合いたいって思うよ」

「分かり合う?俺はお前の仲間を殺そうとしたんだ。この先も、それは変わらない。そんな相手と分かり合うっていうのか?」

「レンは生きてる。皆だって、生きてる。怒ってはいるけど、あなたを恨む理由はないの。あなたの話を聞いて、私確信した」






小さな可能性。
それでも、その可能性に賭けてみたいと思った。




「きっと、まだやり直せる。あなたみたいな悪魔がいるなら、きっと。人間だってまだ、捨てたもんじゃない。きっと話せばわかってくれる。簡単なことじゃないと思うけど、私はその可能性にかけたい」

「バカじゃねぇのか。俺は、話し合うつもりなんてない」

「それでもいい。今は、それでも…。私の守りたいもの、変わったよ」






私が守りたいもの。
それは………。





「この世界の、皆。悪魔も、人間も関係なく、懸命に生きている皆を守りたい」








大きな願い。
途方に暮れる願いかもしれない。





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