プリンセス☆ロード
悪魔の目的は人間の抹殺だと言った。
それを成し遂げるために、私が必要なのだろうか。
だからこそ私を誰もが必死で襲ってくるんだろうか。
人間を抹殺するために、私が…?
いや、私がじゃない、私の力が必要なんだ。
このネックレスを扱う力。
私を浚ったところで、そんな目的に力を貸すわけなんてないのに。
ロイドはずっと黙ったまま前を歩く。
その心には何を思っているのか。
傷ついた羽はしまったままの背中。
少し違うのは、少しだけ私の速度に合わせてくれている歩幅。
「ほら、優しいじゃん」
本人に投げかけても、“ばか”って言われるだけだろうから小声で。
私は、少し駆け足でロイドに追いついた。
「ロイド」
「…は?」
「私の名前はね、お前でも、姫、でもなくて、紗南っていうの。紗南、覚えてね」
「…興味ない」
「あなたの事、私もロイドって呼ぶから」
名前を呼びあうこと。
仲良くなるための第一歩。
互いを知るまず第一の架け橋。
「勝手にしろ」
「うん。勝手にする」
一人が変われば、それが広がっていくかもしれない。
そんな小さな期待を込めて。