プリンセス☆ロード
私は、最初に連れてこられた広間に連れられ、十字の石に腕を広げ手首をくくりつけられた。
身動きが取れず、手首の枷も外せそうにない。
ロイドはその様子を険しい表情で見ていた。
ズシン、ズシンと大きな地響きとともに、恐怖の対象である魔王がやってきた。
辺りの空気も張り詰める。
「ロイド、反省したか?」
「……はい」
魔王の問いにロイドは小さく答える。
本当に逆らえないようだ。
「そうか。いい子だ。まさか、人間の女に絆されたのかと心配していたが」
「…そんなことは」
そんな会話を交わしている間に手下たちが大きな水晶のようなものを運んできた。
魔王仕立てなのか、私が知っている水晶の数百倍はあろうかという大きさ。
その水晶は、酷くくすんだ色をしていた。
「救いの姫、お前の力を欲していた」
「…私は、あんたたちの力になんてならない!」
「そんな強がりを言っていられるのは今のうちだ」
「人間を抹殺する目的に、手伝うなんてできない!」
「ほう、我々の目的を知ったか。ならば話は早い」
魔王は大きな音を立てて椅子に腰かける。
私の言葉になんて全くの動揺も反応も見せない。
「我らに力を貸せば、貴様だけは生かしてやろう」
「…大切な人がいない世界なんて生きてても意味がないわ!」
「共に死ぬことを選ぶか」
「違う!私は、あんたなんかに屈したりしない!絶対に!」
負けるもんか。
レンたちに胸を張れるように、ここで負けるわけにはいかない。
怖いけど、身体は震えるけど。
生きて、皆に会うんだ。