プリンセス☆ロード
「あたしは、兄ちゃんがいたらいい。兄ちゃんをいじめる魔王さまになんて…
嫌いだ」
心の中の葛藤が見える。
悪魔の親子の概念がどうなのかわからない。
それでも、やはり親は特別なんじゃないだろうか。
だからこそ、エリサちゃんはこんなにも苦しそうで。
「兄ちゃんはいつも1人だったあたしに優しくしてくれた。外の話をいろいろしてくれた」
「うん…」
「父はそんなこと、なにもしてくれなかった。私のことなんかどうだってよかったんだ」
そんなことないよ、今はその言葉が無責任に思える。
魔王を目の当たりにした私だからこそ。
「エリサちゃん、ロイド助けようね」
エリサちゃんからロイドを奪っちゃいけない。
奪わせたりしない。
「ならさっさと行くぞ」
「うん!」
レンが剣に手を伸ばす。
しっかりと手に握り抜き去ろうとした。
しかし……
「っ!」
ビリビリ!
なんと、レンのことも拒んだのだ。
「どうして…?」
レンにも抜けないなんで、どうしたらいいの?
悪魔の城が人間を寄せ付けないように、この剣は悪魔を寄せ付けないのかと思っていた。
それはきっと、悪魔であるエリサちゃんもだろう。