プリンセス☆ロード
「牢に見張りなんていない」
「え?どうして?」
牢といえば、必ずいてもおかしくないだろう。
幽閉された者を見張る必要があるんじゃないんだろうか。
「必要がないんだ。兄ちゃんが、逃げることなんてまずありえない」
「そんなこと…」
「逃げる気力が残らないくらいに痛めつけているから」
その言葉に息をのんだ。
逃げ出す気力が残らないほどに……。
無意識にエリサちゃんの手をぎゅっと握っていた。
エリサちゃんはその手をそっと見下ろす。
許せない。
私は、魔王を許せない。
認めてもらいたいって、ロイドはあんな父親でもそうやって慕っていたんだ。
それなのに、そんな父親にそんな仕打ちを受けて平気なはずがない。
痛めつけられていなくたって、逃げ出す気力なんてなかっただろう。
「急ごう」
私はそう言うと階段を下りる足を速めた。
絶対に助けるんだ。
ロイドが何といおうと関係ない。
私がそう決めたんだから。
「ああ、急ごう」
レンは、そんな私の気持ちを汲んでくれたのか、そう言って頷いた。