プリンセス☆ロード
「…借りを作ったままでは寝覚めが悪いからな」
「…は…?」
「経過はどうであれ、紗南を守ったことは感謝する」
レンは、全く違う方向を向いて話す。
それがレンのせめてもの抵抗なのかもしれない。
思えばレンは、ロイドを助けることを否定しなかったんだ。
私の意思を尊重してくれていたからだけではなかったんだろう。
レン自身、想う所はあったのかもしれない。
「…ロイド、…ありがとう。守ってくれて…」
「…気の迷いだ…」
「それでも、そのおかげで、私は今、生きてる」
「…お前ら、こんなことして…ただで済むと思ってるのか?」
エリサちゃんに支えられながら身体を起こす。
ロイドの言うとおりだ。
初めから、それはわかっていた。
「魔王さまの力は、女、お前は目の当たりにしたはず…。それなのに……」
「私は、救いの姫なの。恩人のあなたを救えなくて、救いの姫だなんて名乗れないでしょ」
覚悟なんてない。
怖くて、身体は震える。
それでも虚勢を張って、前を見据える。
「大切な人を、守りたいから」
その先の未来に、皆で生きたいから。
「お前は…本当に、変な女だ……」
ロイドは力なく笑う。
それを見てエリサちゃんは驚いたように目を見開いた。
「兄ちゃんが…人間に向かって笑った…」