プリンセス☆ロード
「きゃー!誰か!!」
突然、女の人の悲鳴が聞こえた。
明るい雰囲気が一変、辺りが騒然とする。
「なに?」
ただならぬ雰囲気にミナトに視線を向けると、ミナトは険しい表情をして声がした方を見ていた。
ミナトは騎士なんだもん、駆けつけたいよね。
でも、きっと私の側から離れないためにそれを我慢してる。
「ミナト、行って」
「え?」
「なにかあったみたいだし、ミナトが行かなきゃ。ミナトはこの国の騎士なんでしょ?」
「でも…」
「私は大丈夫だから」
私は、どっしりと構えてそう言う。
最初から一人で来るつもりだったんだし。
町に来て見て、とてもいい町だってわかったし。
皆が言っていた危険なんて何もなかった。
「…ごめん。すぐに戻るから。絶対にここを動かないで!」
ミナトは、少し考えた後意を決したようにそう告げると走り出した。
私はその背中を見送りながら、幼そうに見えて、いざって時は男らしくなるんだな、なんて安易に考えてた。
これから起こることを、何も知らずに………。