プリンセス☆ロード
その男の人に連れられて行くうちに、少しずつ胸騒ぎがした。
だって、なんだかどんどん人気のないところに向かっている気がする。
この人、本当にミナトの知り合い?
ミナトに頼まれてきたの?
「あ、あの…」
「ん?」
「どこまで行くんですか?」
「どこって、安全な所までだよ」
安全な所って…。
騒ぎが大きくなっている感じしないし、もう逃げる必要ないんじゃ…?
「あの、ありがとうございます。もう、大丈夫なんで」
少し、怖くなった私はそう立ち止まっていうと踵を返す。
逃げなきゃ、と本能が叫ぶ。
危険な香りがする。
この人から、離れなきゃ。
「ちっ、もう少しだったのにな」
低く濁った声。
これ、さっきの感じのよさそうな男の人の声なの?
全く別人の声に聞こえる。
「せっかく、人間に化けてまで来たんだ。ちゃんと俺の腹の中におさめねぇとな」
ゾクゾクっと背筋が凍る。
恐怖に、振り向けない。
ただならぬ雰囲気に、身動きが、取れない。
いったい、なんなの?