プリンセス☆ロード
その後、本当に採寸され、ドレスの製作がはじめられたようだ。
ドレスは、私の意見も取り入れてくれるようで、どんなドレスがいいかと話を聞かれるうちに、なんだか私も楽しくなっていた。
「紗南ちゃん、ドレスどう?」
「うん、今大急ぎで間に合うように作ってくれてるみたい」
「楽しみだね」
部屋に遊びに来たミナトがウキウキとそう言った。
「うん…。でも、ドレス作りについ忘れてたけど、目的はお披露目会なんだよね」
「いいじゃん。俺、紗南ちゃんが姫ですごく嬉しいよ?」
「…ありがとう。でも、私、元の世界に戻りたいの」
この世界の素敵な所は知れたし、みんなの事もいい人だって思ってる。
でも、やっぱり、17年生きてきたのは地球だから。
大切な家族や、大切な友達がいる地球に、私は戻りたい。
「そう思うのも当然だよね。だから、紗南ちゃんが戻る方法も、頑張って探すからね!」
「ミナト…。ありがとう」
「うん!」
ミナトの優しさに、心が温かくなる。
ミナトも、みんなも、本当にいい人たちなんだ。
話していればわかる。
「ミナトは、いつから騎士になったの?」
「…俺は、10歳のころから騎士になるために訓練してたよ」
「10歳?そんな子供のころから?騎士に、なりたかったの?」
私よりも年下のミナトが命を懸けた騎士の仕事をしている。
騎士の仕事はよくわからないけれど、きっととても危険なこともあるんだろう。
だって、いつも腰には仰々しい剣を下げてる。
それを使う場面にだって、きっと出くわすからだろう。
そんな騎士になろうと思ったのは、それだけの憧れがあったからなのか、と聞いてみるとミナトの表情が少しだけ曇った。