プリンセス☆ロード
そして、就任式当日。
ドレスを着飾った私は、国民が集まった広場の高台まで来ていた。
ここからは国民の姿は見えないが、姫を待ち望んでいる歓喜の声が聞こえる。
「姫、大丈夫ですか?」
「…う、うん…」
今日は、姫として扱わせてほしいと言われ、私はみんなに姫と呼ばれている。
不慣れな扱いに戸惑いながら、自分の緊張と戦っていた。
「…どうしよう。お前なんて求めてない!とか言われたら」
「はは、大丈夫ですよ。皆さん、暖かく受け入れてくださいますから」
ソウシにそう言われ、不安なことは考えるのはやめた。
「姫、準備が出来ました。出番です」
レンにそう促され、ゆっくりと前に進む。
「今日、皆に集まってもらったのはほかでもない。この国に代々伝わる、奇跡の姫が、ここに就任したことを皆に認めてもらいたい!」
「わー!!!!待ってたぞー!」
「姫様-!」
王の紹介に、一層歓喜の声が沸き立つ。
“奇跡の姫”はこの国の伝説とされ、数十年に一度現れる不思議な存在としてとても大切に思われてきていた。
いつ現れるかは、奇跡でしかなく、一代あいて次がすぐに現れた今回は本当に奇跡と呼ばれるにふさわしいのだ。
王からその説明を私は受けたけれど、そんなことを言われてもピンとこないし。
そもそも、私は何の変哲のないただの女子高生。
ただ、あのネックレスを偶然手にしただけ。
それでも、この国の人は、私を奇跡だと、姫だと崇めるように扱ってくれる。
「行って来い」
レンが、背中を押してくれる。
私は、小さく頷くとゆっくりと前に進んだ。
広場に収まりきらない人、人、人。
それは、姫の誕生を待望し喜び、集まってくれた人たち。
誰一人として、それを嘆いたり避難している人はいない。
それは、みんなの表情を見たらわかる。
皆の歓声を聞けば伝わってくる。