プリンセス☆ロード
「この国の王子と婚姻を結ぶことになるかもしれないってことも、姫としての任務がどんなものなのかも、現実味がなくて、なるようになると逃げてました。今、ここで皆さんの前に立っているのだって、みんながそうしろといったから、自分は仕方なく立っているんだって思ってました」
そんな、本当のことを話して国民のみんなはどう思うだろう。
最低だと、がっかりするだろうか。
「皆さんの前に、立つまでは…」
さっきまでの歓声はおさまり、静まり返る広場。
ごめんなさい、王様、レン、騎士のみんな。
でも、私ウソはつけない。
覚悟を、決めたから。
まっすぐ向けられたこの国民のみんなの顔を見たら、覚悟ができたから。
「そんな私を、皆さんは全く疑わず、受け入れてくれようと歓迎してくれました。私は、その期待に応えたいって思ったの。こんな話をして、不信感を抱かれてしまったかもしれないけど、私自身を受け入れてもらいたいって思ったから。奇跡の姫、とか、救世主とか、そんな肩書きとしてではなくて、一人の紗南という私自身を受け入れてもらいたいから」
「姫…」
王様は、すべて受け止めてくれたように微笑む。
「王子と結婚するかは、やっぱりその覚悟はできないけれど…」
それでも、
「この国の姫として、皆さんの役に立ちたいです」
私ができることを。
していきたいと、願う。