プリンセス☆ロード





そうでなくても紗南はこの世界では身寄りはなく心の置ける友人も家族もいない。
だからこそ、少しでも話し相手になればと毎日通うことを約束したのだ。








「旅に出たら、当分城には戻ってこれないってことでしょ?」

「当然だ」

「その間、紗南ちゃんはどうなるんだよ!俺、約束したんだ。毎日遊びに行くって!それなのに」









紗南が一人になってしまうことへの、申し訳なさがミナトの返事を鈍らせた。
あれほどまでに帰りたいといっていた紗南が、少しでも姫の任を遂行しようと思ってくれたのは、自分たちの存在も少しは影響しているのではないかと思っていた。
自分たちの存在を受け入れてくれたからではないか、と。
それなのに、そんな自分たちが旅に出て残された紗南はどう思うだろう。







「それこそ、早く戻りたいって思うんじゃないか?姫になんてなるんじゃなかったって!そんな風に思われたら俺…」

「生温いことを言うな。俺たちは、あいつの遊び相手じゃないんだ。旅に出るのだって、あいつを守るための事だ」

「それは、わかってるよ…」






わかっていても、納得できないこともある。








「あいつだって、多少の覚悟はしたはずだ。文句は言うまい」








レンの言葉に、ソウシやリュウも相違なかった。
あんな危険な目にあったんだ、自分のためだとわかれば納得してくれるだろう、と。
しかし、一行はわかっていなかった。





紗南の、強情さと頑固さを。









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