プリンセス☆ロード
『紗南ちゃんってかっこいいよね!そこら辺の男の子より、ずっとかっこいい!』
そう。
たった、その言葉を言われただけで私は剣道をやめた。
きっぱり、忘れ去るように胴着も竹刀もすべて捨てた。
きっと、友だちは褒めてくれてたつもりで、悪意なんて一ミリもなかったんだと思う。
それは、その時の友達の表情を思い返してみても、断言はできる。
それでも、その時の私には一番心に突き刺さる言葉だったのかもしれない。
そこら辺の男の子より。
ああ、私って、そんな風に見えていたんだ。
私だって、女の子なのに。
普段は、スカートをはいて、かわいくリボンの髪飾りを付けて着飾って。
それなのに。
そんな風に見られてたんだ。
じゃあ、普段着飾ってた私をみんなはどんなふうに見てたんだろう。
男みたいなのに、かわいいカッコしてって笑ってた?
そんな風に思い始めたらもうダメだった。
女の子で、いたかったの。