プリンセス☆ロード
それからというもの、紗南の部屋を訪れても紗南は返事もせず扉もあけてもらえなかった。
それは、誰が行っても同じだった。
メイドたちも、食事の用意をしても出てきてはくれず仕方なく扉の前に置いておいているのだと困った様子で話していた。
「出発は明日だというのに…」
このまま姿を見せないつもりでしょうか、とソウシが困ったように呟いた。
できれば、笑顔で見送ってほしいと思うのはただのわがままだろうか。
「放っておけ、あんな女」
レンは一人刺々しい雰囲気を出しながら黙々と準備をしていた。
そんなレンも、心の中では後ろ髪をひかれているのだと他の騎士たちは気づいていた。
「ところで、明日俺たちのほかにもう一人他の部隊から旅に同行するって本当?」
「ああ。人手は多い方がいいだろうとの王の気遣いだそうだ。俺たちのサポートをしてくれるらしい」
「サポート?」
「ああ。そこそこ腕もたつ奴らしいからな、安心だろう」
その人物とは当日その場で合流らしいと付け加えられた。
実は、その話を、王様から聞いていたのはレンだけではなかった……。