プリンセス☆ロード





当日、とうとう紗南は誰の前にも姿を現さなかった。
それだけが心残りではあるが、あれほど熱心について行きたいと懇願していたことを無下にしたのだ。
この仕打ちも仕方がないと、一行は納得しようとしていた。





「くれぐれも、無理をするな。危ないと思った時には深追いはせず、一度体制を整えること。そして、報告はしっかりすること。わかったか?落ち着いたときには戻ってこい」

「はっ!」






王様は、激励の言葉を騎士たちに投げかける。
それを胸に、それぞれに覚悟を決めた。








「紗南の事だが、何度かわしも部屋を訪ねたが聞く耳持たんでな。納得できたら出てくるだろうが…」

「いえ、ありがとうございます。紗南さんの事、どうぞよろしくお願いいたします」

「ああ。なるべく寂しい思いをさせんように気を配るつもりだ」

「ありがたきお言葉」








騎士たちは深々と頭を下げる。
そして、そんな一番隊の前に一人の騎士が立った。




一番隊とは違う騎士の衣装を身にまとい、髪はショートで頭にはターバンのような布を巻いており顔はよく見えない。
その者は小さく頭を下げる。






「お前が、この旅に同行する騎士か?」

「…コクッ」

「とても、危険な旅になるが、ついてこれるか?」

「…コクッ」




その者はレンの問いに言葉を発さず頷いて答えた。
その様子が気に入らないレンは小さく舌打ちをした。







「まあいい。自己紹介は後でだ。出発の時間だ、行くぞ」









一行は互いの自己紹介もする間もなく出発の手筈を取った。
しばらくは歩きでの移動になるため、荷物を持ち一行は城の外へと足を踏み出した。






一行を見送りながら、王はふと思うのだった。








(はて、同行させる騎士は、あんな背丈だったか?)








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