プリンセス☆ロード
騎士たちが出発してずいぶん時間がたったころ、城内が騒がしくなっていた。
それに気づいた王は、騎士を呼び止め何事かと尋ねた。
「王様!…それが…」
「どうした。はっきりせんか」
「はい…。先ほど、地下の倉庫で、今回の旅に同行しているはずの騎士が見つかりまして…!」
「なに?」
騎士の動転した話の内容に王も驚いていた。
見送ったはずの騎士が、地下の倉庫にとはいったい、と首をかしげる。
「それも…ロープでぐるぐる巻きにされており、そのうえ身ぐるみもはがされておりまして…」
「なんと…」
「それが、本人に聞いても、倉庫で必要な旅の物を探している時に突然後ろから殴られたそうで、犯人の顔を見ていないそうです」
その報告を受け、王の頭には一つの仮説が浮かんだ。
「もしかしたら、悪魔の仕業かもと、あの同行したものは悪魔の手先なのではと、騒いでまして、それなら一刻も早く…」
「騎士たちの騒ぎを止めてから、紗南の部屋に向かってみなさい。それから、また報告を頼んだ」
「え、あ、はい!」
その騎士は首をかしげながらも王が言った通りに騒ぎをおさめ、紗南の部屋に向かった。
そしてしばらくして、同じ騎士が王のもとへ報告にやってきた。
「王様!大変です!王様の言われたとおりに姫様の部屋を覗いたのですが、姫様のお姿が見当たりません!」
「はっはっはっ!」
その報告を受けた王は高笑いをし、大きな手で額を覆った。
してやられた、と王は一人納得し嬉しそうに笑った。
「大丈夫だ。皆、安心するように伝えてくれ」
「は、はぁ…」
王様は一思いに笑うと一つ息を吐き呟いた。
「姫としては、失格だが、この国を守る者としては合格、よ」
しかし、あの者たちはどうするだろうな、と王は面白そうに笑うのだった。