プリンセス☆ロード
「で、君の名前は?」
ミナトが改めてそう尋ねる。
しかし、ターバンを深く巻いている騎士の表情は見えず、黙り込んだまま。
「自己紹介くらいさっさとしろ」
それにレンが苛立ちそう言った。
「人に名前を聞く前に、自分が名乗りなさいよ」
いつかも聞き覚えのあるセリフ。
突然発せられたその騎士の言葉に一同は固まる。
そして、その声には聞き覚えがあった。
しかし、まさかこんなところにいるはずのない人物のため、一瞬時が止まる。
すると、その騎士は頭に巻いているターバンを外した。
ショートカットだと思っていた髪は、ターバンの中におさめられていたらしく、ターバンを外したと同時に髪がなびく。
そして、にっこりと笑ったその人物は…。
「紗南ちゃん!?」
「紗南さん!」
「さ、紗南!?」
「お前!」
それぞれに紗南の名を呼びながら驚きを露わにする。
してやったりといった表情の紗南。
そう。
同行するはずだった騎士を地下に閉じ込め、自分が身代わりとなって旅に同行してきていたのだった。