プリンセス☆ロード
お風呂から上がり、廊下に出ると、なにやら話し声が聞こえた。
誰か来ているのだろうか。
短い廊下の先の部屋の扉の前まで行くと、その話声は少しはっきり聞こえてきた。
「レン、いつまでこのままでいるつもりですか?」
「…この国が悪魔に脅かされなくなるまでだ」
「レンの気持ちはわかりますが、レンの本来の立場でもできることはあるはずです」
話し声の相手は、ソウシのようだった。
しかし、なんの話をしているのか全く分からない。
「俺がすることにとやかく言うな」
「わかってますけど、皆の不満や不安だって、伝わってきてるんですよ」
「そんなもの、言わせておけばいい」
「言わせておけばって、あなた自身の事なんですよ!?」
ソウシが声を荒げる。
そんな姿を今まで見たことがなかった私は動揺し、心配になって身を乗り出してしまっていた。
ガチャ
完全に閉まりきっていなかった扉は音を立てて開き、中にいたレンとソウシはその音にハッと振り返った。
「あ…、えと、ソウシ、来てたんだね」
「え…、紗南さん。いつから…?」
私の姿に動揺を見せるソウシ。
レンは眉間にしわを寄せたまま視線を逸らした。
「あ、うん…。さっき、よく聞こえなかったけど、なんの話してたの?」
「…これからの旅について相談していたんですよ」
「…そうなんだ」
何かをごまかしていることは私にもわかった。
しかし、きっと聞いたところで答えてくれないこともわかった。
私はそれ以上追及することをやめた。