戦乙女と紅~呪われの魔槍の章~
鍛錬場に到着。

乙女はエメラルド色の甲冑に着替えてきていた。

腰に帯びているのも実戦用の真剣だ。

「まさか脱走を阻んだ罪で俺は処刑か?」

「お望みならば」

乙女は笑った。

「真剣でなければ気合が乗らぬ。紅も愛用の得物で構わぬぞ?」

「……」

苦笑いを浮かべながら、俺は鍛錬場の壁にかけてあった一本の槍を手にした。

無論、刃のついた実戦用だ。

それを片手に向き合った瞬間から。

…ピンと空気が張り詰めた。

鍛錬場は一瞬にして戦場と化す。

刃止めのされていない真剣での鍛錬なのだ。

気を抜けば大事に至る。

…開始の合図などなかった。

まさに突然。

「!!」

目前から乙女の姿が消えた。

そして次の瞬間には、彼女は俺の間合いへと入り込んでいた。

「はあっ!!」

片手での振り下ろし!

俺はそれを槍の柄の中程で受け止める。

同時に体を半回転させて刃を流し、後ろ回し蹴りを乙女の甲冑の腹へ!

しかし。

「っ!」

事前にその攻撃を察知した乙女は、自ら後方に飛んで俺の蹴りを不発に終わらせた。

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