戦乙女と紅~呪われの魔槍の章~
女性は傍らに置いてあった、布にくるまれた何かを目の前に置く。

長身の紅などよりもずっと長さがあるものだ。

武器商が持ってくる長物…。

「それは、槍か何かか?」

私の問いかけに。

「はい、そうでございます」

女性は頷きながら、布を取り去った。

「……!」

布の中身に、思わず息を呑んだ。

確かに槍だ。

長さも材質も、よく見かける普通の槍と大差はなさそうだった。

が、何だろう、この違和感は。

穂先の刃の鈍い輝き、柄に施された装飾は何故か不気味でさえあり、黒を基調としたその槍の色合いは、何か不吉なものを感じさせた。

…何だ、この槍は…。

私は眉を潜める。

槍にしても剣にしても、人殺しの道具だ。

どこか不吉な色を含むのは至極当然と言える。

しかしこの槍は、それとはどこか違う、何か邪悪な匂いを感じさせる。

損傷も刃の曇りもない、よく手入れの施された品ではあったものの、その槍には幾多の人の血を啜った、生々しさが残っていた。



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