戦乙女と紅~呪われの魔槍の章~
噴水のほとりに腰掛ける私が精神的に落ち着くのを、紅は黙って待っていてくれた。
「…もう大丈夫だ」
大きく深呼吸して、私は隣に立つ紅を見る。
戦場に立ち、何度も兵の死に直面してきた私だが、あんな惨たらしい死に様を見せつけられたのは初めてだった。
それで気が動転してしまった。
いや…これまでもあのような死を迎えた兵士はいたのかもしれないが、皆が私を気遣い、私の目に触れぬようにしてくれていたのかもしれない。
「面目ない」
私が言うと。
「お前は女王とはいえまだ娘だ。無理もない」
表情には浮かべぬものの、紅は優しい言葉をかけてくれた。
「…で…彼が亡くなったのは…」
「時間まではわからん。夜明け前に警備の交代をしようとした女神兵が発見したそうだ。発見した時点で、既にあの状態だったらしい」
私の問いかけに対し、紅は事実だけを口にする。
「…賊が侵入したのか?そして彼をあのような残虐な手口で」
「考えにくいな」
紅は私の言葉を否定する。
「女神兵は俺が選抜した精鋭兵だ。それが剣を抜く事もなく、争った形跡もなく、恐らくは一撃で首を落とされている」
成程、確かに並みの賊に女神兵をああも見事に倒す事はできぬ筈だ。
「…もう大丈夫だ」
大きく深呼吸して、私は隣に立つ紅を見る。
戦場に立ち、何度も兵の死に直面してきた私だが、あんな惨たらしい死に様を見せつけられたのは初めてだった。
それで気が動転してしまった。
いや…これまでもあのような死を迎えた兵士はいたのかもしれないが、皆が私を気遣い、私の目に触れぬようにしてくれていたのかもしれない。
「面目ない」
私が言うと。
「お前は女王とはいえまだ娘だ。無理もない」
表情には浮かべぬものの、紅は優しい言葉をかけてくれた。
「…で…彼が亡くなったのは…」
「時間まではわからん。夜明け前に警備の交代をしようとした女神兵が発見したそうだ。発見した時点で、既にあの状態だったらしい」
私の問いかけに対し、紅は事実だけを口にする。
「…賊が侵入したのか?そして彼をあのような残虐な手口で」
「考えにくいな」
紅は私の言葉を否定する。
「女神兵は俺が選抜した精鋭兵だ。それが剣を抜く事もなく、争った形跡もなく、恐らくは一撃で首を落とされている」
成程、確かに並みの賊に女神兵をああも見事に倒す事はできぬ筈だ。