戦乙女と紅~呪われの魔槍の章~
しかし。

「くだらんな」

そう言ったのは紅だった。

「呪いなど有り得ぬ」

「だが」

私は紅に反論した。

「ならばこの不可解な兵士の死はどう説明する?何か人智を超えた力が働いたとしか思えぬ」

「俺にもわからぬ。わからぬが」

紅は仮定の話をし始めた。

「仮に本当に呪いだったとして…おかしいとは思わぬか?」

「おかしい?」

「ああ…魔槍様は、何故あの兵士を呪い殺したのだ?本当に呪われるとすれば、現在あの魔槍を所持しているこの俺が先ではないか?」

「あ…」

言われてみれば、確かにそうだ。

直接魔槍を扱った紅の身に何の災いも降りかからず、何の関係もなかったあの兵士が不審な死を遂げたというのは、何か矛盾している気がする。

「俺を呪えぬ理由があったのだ。呪いとやらをかけた魔槍様はな…いや…」

紅は言い換える。

「この国を狙っている輩はな…」










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