戦乙女と紅~呪われの魔槍の章~
第三章 黒の旅団

乙女

女神兵の死に関しては、一部の兵以外には知らせぬ事にした。

死んだ兵は、私の特命で他国に向かったという事にしておいた。

真実を告げる事は、女神国の民衆や兵の動揺を誘いかねないし、他国にも我が国の不安定さを露呈する事は避けたかった。

「…で、どうするのだ?」

夜。

紅と私、二人きりの玉座の間で、今後について話し合う。

…魔槍の呪いなのか、またはこの国を狙う刺客なのか。

どちらにせよ捨て置く訳にはいかない。

この国の女王として、何らかの対策をとる必要があるだろう。

「とりあえずは警備を強化する必要があるな。兵には決して一人では行動しないように…必ず二人…いや、三人一組で行動するように伝えてくれ。民衆にも、むやみに夜歩きはせぬよう厳命してくれ。真実さえ告げなければ、理由はどう言い繕っても構わん」

私はそう言ってしばらく思案した後。

「夜間の警備は、私も参加する事にしよう」

「何?」

私の言葉に紅が驚く。

「女王のお前が警備に参加するだと?」

「ああ」

私は頷いた。

…女神兵がやられてしまうほどの事態なのだ。

女神兵よりも腕の立つ者は、この国には私と紅しかいない。

有事の際にはすぐに行動に移れるように、私達も兵達の身近にいる必要がある。

「今夜は私が警備に参加する。明日は紅だ。二人で交代で参加する事にしよう」

「やれやれ…」

紅は溜息をついた。

「お前の献身ぶりには頭の下がる思いだよ…」


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