戦乙女と紅~呪われの魔槍の章~
厩舎から駆け足程度で馬を走らせる。
この時の馬の歩調が難しい。
まさか王宮敷地内を全速力で走らせて怪我人を出す訳にはいかないし、歩かせる程度では簡単に捕まってしまう。
…特に武術指南殿の監視の目は厳しいのだ。
その目を盗んで外へ出るのは至難の業だった。
…厩舎を出てから王宮の門までは、何とか上手く抜け出せた。
比較的ここまでは距離が短かった事もある。
問題はここから門の突破だ。
一気に突っ切らねばならない。
…愛馬の首筋を撫でて落ち着かせた後。
「行くぞ!」
私は馬の腹を蹴った。
途端に走り出す愛馬。
「乙女だ!乙女がまた脱走したぞー!!」
突進してきた私の愛馬に気づいた騎士の一人が叫ぶ。
脱走とは何事か。
人を罪人の如く言いおって。
とはいえこれで三度目だ。
同じ事を何度も繰り返して迷惑をかけている私を、罪人と言わなくはないかもしれない。
そんな事を思いつつも、王宮の門突破まであと僅か。
『今日こそは』脱出できるか。
勝利を確信した笑みを浮かべる私の進路上に。
「!!」
一人の男が歩み出た。
この時の馬の歩調が難しい。
まさか王宮敷地内を全速力で走らせて怪我人を出す訳にはいかないし、歩かせる程度では簡単に捕まってしまう。
…特に武術指南殿の監視の目は厳しいのだ。
その目を盗んで外へ出るのは至難の業だった。
…厩舎を出てから王宮の門までは、何とか上手く抜け出せた。
比較的ここまでは距離が短かった事もある。
問題はここから門の突破だ。
一気に突っ切らねばならない。
…愛馬の首筋を撫でて落ち着かせた後。
「行くぞ!」
私は馬の腹を蹴った。
途端に走り出す愛馬。
「乙女だ!乙女がまた脱走したぞー!!」
突進してきた私の愛馬に気づいた騎士の一人が叫ぶ。
脱走とは何事か。
人を罪人の如く言いおって。
とはいえこれで三度目だ。
同じ事を何度も繰り返して迷惑をかけている私を、罪人と言わなくはないかもしれない。
そんな事を思いつつも、王宮の門突破まであと僅か。
『今日こそは』脱出できるか。
勝利を確信した笑みを浮かべる私の進路上に。
「!!」
一人の男が歩み出た。