戦乙女と紅~呪われの魔槍の章~

乙女

私は長身の紅を飛び越えるほどの跳躍で、死神の頭上に斬りかかった!!

だが、この程度の攻撃が死神に通用するなどとは思っていない。

案の定、死神は素早く防御の姿勢に入る。

だから…はじめからこの攻撃は見せ技に過ぎなかった。

斬りかかると見せかけ…「!?」

私はまだ突きの姿勢のままの紅の槍の上に、一旦舞い降りた。

そしてその槍の反動を利用して、再び跳躍!!

空中で一回転して、死神の背後に着地した!!

…私が王宮を脱走しようとした時に紅が見せた、あの華麗な体術だった。

「な…!?」

この動きには流石の死神も意表を突かれている。

彼女の背中は隙だらけだった。

その背中に。

「御免!!」

私は一気に刃を振り下ろす!!

確かな感触。

私の剣は、完璧に死神を捉えた。

にもかかわらず。

「!!!!!」

死神は素早く振り向き、鎌を振り上げる!!

…あの一撃を受けて、まだ動けるのか。

剣を振り下ろした直後の私は、まだ体勢を立て直せていない。

今の状態では避ける事も防ぐ事もできない。

だが。

「…やるな、戦乙女…流石だ…」

そんな言葉を残し。

「ぐふっ…」

喀血と共に、死神は倒れた。

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