戦乙女と紅~呪われの魔槍の章~
死神の死。
黒の旅団の頭目である彼女の死によって、この戦いの勝敗は決した。
…残された黒の旅団の兵達はざわめく。
頭目の死に愕然とする者、泣き崩れる者、唇を噛む者。
共通する感情は、怒りと悲しみ。
剣を預けた頭目の後を追い、自らも討ち死にを覚悟する、決意の眼差しが私に向けられた。
…紅、そして女神兵の面々がそれを受け止める。
もし私に刃を向けるのならば、最後の一人残らず殲滅する。
その場に、一触即発の空気が漂った。
しかし。
「黒の旅団の者達よ」
私は彼らに向き直り。
「!!?」
その場に跪いた。
女神兵達が、黒の旅団の兵までもが、私の行動に目を疑った。
一国の女王たる私が、敗軍の、しかも敵兵に跪くとは思わなかったのだろう。
「己の軍の主君の命を奪った私に対して、並々ならぬ怒りを覚える気持ちはよくわかる。私がただの兵卒ならば、討ち取られてやっても構わぬとさえ思っている…」
そう言って私は顔を上げた。
「だが、私は一国の主だ。民を、兵をこれからも守っていかねばならぬ。故にこの命、まだそなた達にくれてやる訳にはいかぬのだ。ならばせめて…この命、そなた達の盾として使う訳にはいかぬか」
私は黒の旅団の兵士、一人一人の顔を見た。
「これまでそなた達は苦汁を舐める人生だったのかもしれぬ…ならば今後はその苦汁を舐める役目は、私が代わろう…そなた達の人生、私に預からせてくれ」
黒の旅団の頭目である彼女の死によって、この戦いの勝敗は決した。
…残された黒の旅団の兵達はざわめく。
頭目の死に愕然とする者、泣き崩れる者、唇を噛む者。
共通する感情は、怒りと悲しみ。
剣を預けた頭目の後を追い、自らも討ち死にを覚悟する、決意の眼差しが私に向けられた。
…紅、そして女神兵の面々がそれを受け止める。
もし私に刃を向けるのならば、最後の一人残らず殲滅する。
その場に、一触即発の空気が漂った。
しかし。
「黒の旅団の者達よ」
私は彼らに向き直り。
「!!?」
その場に跪いた。
女神兵達が、黒の旅団の兵までもが、私の行動に目を疑った。
一国の女王たる私が、敗軍の、しかも敵兵に跪くとは思わなかったのだろう。
「己の軍の主君の命を奪った私に対して、並々ならぬ怒りを覚える気持ちはよくわかる。私がただの兵卒ならば、討ち取られてやっても構わぬとさえ思っている…」
そう言って私は顔を上げた。
「だが、私は一国の主だ。民を、兵をこれからも守っていかねばならぬ。故にこの命、まだそなた達にくれてやる訳にはいかぬのだ。ならばせめて…この命、そなた達の盾として使う訳にはいかぬか」
私は黒の旅団の兵士、一人一人の顔を見た。
「これまでそなた達は苦汁を舐める人生だったのかもしれぬ…ならば今後はその苦汁を舐める役目は、私が代わろう…そなた達の人生、私に預からせてくれ」